特別対談 歯科技工士 森永純氏×丸橋伸行

最初から意気投合。ビジネス論など話が尽きなかった

森永 丸橋先生とのご縁は2008年から続いています。15年の間には変化もあって、最初は自費の入れ歯に力を入れられていたところから、保険診療の入れ歯にシフトされて、いまはまた軸を変えてと方向転換されていますが、その度に私にも必ず相談をくださっていて。私はこれまで100軒から150軒の歯科医院と取引させていただいてきましたが、その中でも、丸橋先生には特別な繋がりを感じています。

丸橋 森永さんとは、お互いのスタッフを交えた入れ歯の勉強会など色々一緒にやってきました。時期によってはお会いする機会が減ることもありますが、そういうときでもまったく距離を感じない、「つねに繋がっている感覚」がありますね。

森永 そうなんですよね。一緒にお仕事させていただくようになった当初は、自費の入れ歯の「立ち合い技工」でよくお会いしていたので、患者様のアポの合間に、たくさんお話をしました。

丸橋 治療の話にとどまらず、ビジネス論や、いまってこんな時代ですよね的な話をしたり。すぐに意気投合できて楽しかったです。

森永 まさに意気投合という言葉がしっくりくる感じでした。丸橋先生は話題の幅が広く、「視野が広い方なんだな」と、そういう方とお話したいと思っていた私は非常にうれしかったのを覚えています。最近では丸橋先生は広告学のセミナーなどもされていますが、そういった活動もすべて歯科医師の教育につながり、技工士教育にもつながる。つねに刺激をくださる存在です。

丸橋 ところでこの対談は採用サイトに掲載するものなので、ちょっとそれっぽく。森永さんから見て、のぶ歯科って、勤務医の先生にとってどんな医院だと思われますか?

「仕事しやすいシステム」の中で、全員の技術が高まっていく

森永 勤務医の先生にとって、「仕事しやすく」かつ「成長できる環境である」というのはまず確実にいえますね。

丸橋 そうですか!ありがとうございます。

森永 心からそう思います。技工士の立場からの話になりますが、歯科医師の先生の中には、技工士に対して過度なプレッシャーをかける方もいらっしゃいます。丸橋先生はこれまで一度も、圧を掛けるようなことはされず、技工士に対して的確に仕事を任せてくださる。15年、親しくさせていただいてきた中でずっと変わらないところで、それは「歯科の技術を高める」という点で非常に建設的だと思うんです。
もし仮に何か支障が起きた場合でも、技工士を責めるようなことはなく、治療を振り返り、どこまでフィードバックをしたら最短でやり直せるかを考える。結果、お互いのスキルがあがっていくという前向きな構造があります。きっと丸橋先生は、勤務医の先生に対してもそうされているのだろうなと思っています。

丸橋 エラーが起きたときこそシステムを見直すチャンスだというのは意識しているかもしれません。圧をかけるより改善策を考えたほうが次につながりますからね。

森永 歯科技工士は基本的にラボにこもっていて、外で話す機会が少ない仕事です。連絡が入ったといえばクレームが多い。しかし、丸橋先生との仕事にはそういった風習を一掃したシステムがあるんです。「最適化されたコミュニケーション」とでもいいましょうか。何かあったら原因を追究し、責めるわけではなく、改善策を一緒に考える。私と丸橋先生との間で培っているものがあるので、勤務医の先生達とも非常にお話がしやすい。そういう環境の中で、勤務医の先生達もどんどん力を付けられている印象です。

丸橋 治療をしていたら、どうしても難しいこと、中には無理なこともあります。そのためにマニュアルを作り、院内はもちろん外部の技工士さんとも共通認識を持っておくことは非常に大事だと思っています。「こうなったときは一度、技工所に聞けばいい」というような流れができていれば、治療もスムーズに進みますし、無駄に自信喪失もしなくてすみます。

森永 そうなんです。マニュアルが決まっていると全員が仕事しやすいんですよね。必ず患者さんの顔写真を撮る、ここではこの装置を使う、「ここはラボに聞けばいい」などやることが決まっていたら、迷うことなく進んでいけます。とくに入れ歯は難しい治療で、噛めない、痛い、笑えないという患者様の様々なお悩みに対してポイントを押さえなくてはならない中、一緒にこのマニュアルづくりを頑張ってきました。

丸橋 マニュアルの背景には、のぶ歯科1医院で、1年で2000個という膨大な数の入れ歯を作った経験がありますが、結果できあがったマニュアルはシンプルといえばシンプル。入れ歯作りに悩まれてきた先生には「これだけでいいんですか」と驚かれたりします。

森永 一見シンプルでも何千個の入れ歯作りの経験が詰まっていますからね。このマニュアルには私のところのスタッフも助けられています。手順が確立しているので迷わず結果を出せるんです。私たち技工士が知りたい「要望」を、先生達は「依頼」として出してくださる。「連携」という言葉では片づけられない、「なにこれ!」と驚くようなスムーズさがあります。これは、おそらく中にいないと学べない感覚ですよね。私と丸橋先生で、講演会でこの話をしても「すごい話聞けたね」で終わってしまう。でも、実践でのぶ歯科に入られたら毎日これを経験できます。

丸橋 確かに講演では伝えられない部分です。ぜひのぶ歯科に来て体感してほしいですね。

森永 実際に、のぶ歯科の歴代の勤務医の先生は、みなさんどんどん成果をあげられた印象でした。口腔外科出身の先生と「立ち合い技工」でご一緒させていただいた際など、最初の頃と後半とで全くスムーズさが違っていました。勤務医として働くという中ではもちろんプレッシャーはあると思いますが、マニュアル化された治療しやすい環境の中で、たくさんの数の患者さんを診て、着々と実力をつけていける。
のぶ歯科は、若い歯科医師の先生にとって素晴らしい環境だと思います。

【プロフィール】
有限会社ライズデンタルコミュニティー専務
歯科技工士・森永純

2001年、日本では珍しい入れ歯専門の技工所「有限会社ライズデンタルコミュニティー」を立ち上げる。2008年から、のぶ歯科クリニックの義歯製作を担当。